ブランクなんて怖くない。30年来の友だち同士が奏でた音楽の軌跡

MIKIミュージックサロン主催、2人1組のデュオによるコンテストイベント「DUET-tomodachi-2019」楽器の部でグランプリを受賞した渡辺尚子さんと石井隆美さんにデュオの良さについてお聞きしました。

ブランクなんて怖くない。30年来の友だち同士が奏でた音楽の軌跡

トライアングルインタビュー1

「もう一度、音楽を」

子育てが一段落ついた6年ほど前に音楽を再開した渡辺尚子さんと石井隆美さん。ともに20年以上のブランクがありましたが、徐々に勘を取り戻していかれたそうです。

そして、今年2019年に開催されたMIKIミュージックサロン主催のコンテスト「DUET-tomodachi-」楽器の部では、初出場にして見事グランプリに輝きました。

今回は、お二人へのインタビューを通し、奏でた音楽の軌跡をたどります。

ブランクは20年以上。二人で演奏できる発表の場所を求めて

―― 本日はよろしくお願いいたします。まずはMIKIミュージックサロンに通い始めたきっかけを教えてください。

トライアングルインタビュー2

渡辺さん 学生時代は吹奏楽部に所属してクラリネットやサックスを演奏していたのですが、卒業後に就職し、結婚と出産を機に音楽からは離れていました。音楽をやりたい気持ちはあったものの仕事と子育てに忙しく、そんな余裕はありませんでした。子育てが一段落ついて「また音楽をやりたい!」と思いましたが、20年以上のブランクがあったこともあり最初は始め方がわかりませんでした。MIKIミュージックサロンに通い始めたのは「音楽教室に通う」という選択肢に気づいたからです。今は「サックスカルテット」と「サックスオーケストラ」の二つのコースに入会しています。

トライアングルインタビュー3

石井さん 私はMIKIミュージックサロンには通っていなくて。幼少期から大学を卒業するまでピアノを習っていましたが、結婚、出産、就職を機にやめてしまい、渡辺さんと同じように20年以上のブランクを経て再開しました。

 ―― どうして「DUET-tomodachi-」に出場することになったのでしょうか?

 渡辺さん 石井さんから「二人で演奏できる発表の場所があればいいね」と言ってもらったのがきっかけですね。「DUET-tomodachi-」は、MIKIミュージックサロンの生徒であるかどうかにかかわらず、家族や友だちなどから自由にデュエット相手を選ぶことができますので、石井さんと出場することにしました。

石井さん 何か目標があった方が練習にも身が入るだろうなと思いまして。予選会に参加することだけを目標に練習を開始しました。

レッスン開始直後は全く合わず。デュエットの難しさと感動を知る

―― デュエットの練習を始めてみて、いかがでしたか?

 石井さん 最初の頃は全然合いませんでした(笑)一人で演奏する方が楽だなぁと感じるほどで。また、とても難しい曲でしたので、演奏するだけで一杯一杯の状態でした。

渡辺さん 選んだのは『青春の輝き』という曲です。私がこの曲をどうしてもアルトサックスで演奏してみたくて選ばせてもらいました。

―― 予選会まで時間も限られていたと思いますが、その後どのようにして合わせていったのですか?

 石井さん 1日に2~3時間くらい練習することもありました。そうして楽譜を覚えていくと、少しずつ二人の演奏が合うようになってきたんです。

渡辺さん 初めて演奏が合った瞬間は、もう感動で。とても気持ち良かったですね。練習を重ねていくうちに合う回数が段々と増えてきて、今度はズレたところが気になるようになっていきました。お互いが自分の演奏に余裕を持てたことで、相手に合わせられるようになっていったのだと思います。

―― 予選会前にお二人で徳永先生のレッスンを受けられたそうですが、どんなアドバイスをいただいたのでしょうか?

渡辺さん 私は「サックスをキレイな音色で吹きたい」といつも思っているのですが、「盛り上がるところはもっと強く出て」とのアドバイスをいただきました。石井さんはすごく褒められていましたよね?

石井さん 実は「ピアノは伴奏。主役はアルトサックス」と考えていたため、少々遠慮気味に弾いていたんです。でも、徳永先生から「もっと主張して良い」と言っていただき、吹っ切れました。このアドバイスに救われましたね。

―― 予選会がお二人での演奏を発表する初めての機会となったわけですが、緊張しましたか?

 渡辺さん それは緊張しましたよ(笑)誰かに審査されるコンテストに出場すること自体が初めての経験でしたので、発表会との違いを感じましたね。石井さんのピアノに助けられて、なんとか無事に演奏を終えることができました。

 石井さん 私はあまり緊張しませんでした。そもそも予選会に出場することが目標だったので、欲が無かったからかもしれません。予選通過が決まった際も「まだ二人で練習を続けられるんだ」という喜びの方が大きかったです。

大切なのは二人で創る世界観。「DUET-tomodachi-」を通じて上達を実感

―― グランプリ大会に向けて、練習を工夫した点はありますか?

石井さん 音階やアルペジオなどの基礎練習をはじめ、テンポを変えて練習したりしました。

 渡辺さん 私はイメージを膨らませるため、いろんなサックスの曲を聴きましたね。

石井さん あと、演奏前にトライアングルを使った語りのパフォーマンスを披露していたのですが、グランプリ大会ではピアノの音色をミックスしブラッシュアップしました。

 ―― そうして迎えたグランプリ大会本番での演奏。手応えはありましたか?

 渡辺さん 「BillboardLive OSAKA」という大舞台ですから緊張はしました。けれど、演奏中私たちの演奏を聴いてくださっている観客の皆さんの表情が見えて、幸せな気分でした。ただ、最後の最後にミスをしてしまって……。「グランプリの受賞は無いな」と。ですので、正直驚きました(笑)

トライアングルインタビュー4

石井さん 渡辺さん、すごく落ち込まれていましたよね?でも、私は二人の演奏にのめり込めていたのか、サックスの音色を通して会場全体を見ることができていました。「細かいミスはたいしたことではなく、大切なのは二人でどんな世界を創ることができるのか、ということ」。私は普段の練習で渡辺さんからこう言われていたので、ミスを恐れずに演奏することができました。

トライアングルインタビュー5

―― 「DUET-tomodachi-」出場で得られた気づきはありますか?

 渡辺さん 「サックスカルテット」や「サックスオーケストラ」のコースでアンサンブルの練習をしていますが、ピタッと演奏が合ったときの心地よさをより強く知ったことで今まで以上に他の人の演奏に耳を傾けようとする意識が強くなりました。

石井さん やはり上達していくためには、こういった目標を持つことも有効なんだと改めて思いましたね。

トライアングルインタビュー6

 

ブランクがあっても音楽は上手くなる。必要なのはちょっとした勇気

トライアングルインタビュー7

―― 音楽を再開して良かったことは何でしょうか?

 渡辺さん 音楽が好きなので、毎日がより楽しくなりましたよね。

石井さん 私はずっと音楽にたずさわる仕事をしていたので再開という認識はあまり無く、今となればブランクは消えてしまったように感じます20歳の頃より今の自分の方が上手。ブランクがあっても上達できるんだと自信が芽生えました。

―― 今後の目標を教えてください。

 渡辺さん これからも音楽ライフを続けていって、技術をもっともっと磨いていきたいです。

 石井さん 私も同じです。そしていつか二人でどこかで演奏会をすることが目標です。

―― では最後に、音楽を始めようかと検討されている方々へメッセージをお願いいたします。

渡辺さん 私もブランク明けは始め方がわかりませんでしたが、音楽教室に通うという選択肢があります。MIKIミュージックサロンにはさまざまなコースがあるため、ピッタリのものが見つかるかもしれません。そこから世界が広がりますよ。

石井さん 初めてMIKIミュージックサロンにお世話になりましたが、音楽に対する私たちの想いを共有してくださるスタッフの方々の姿勢には感激しました。

 渡辺さん ためらう気持ちはすごく理解できますが、ちょっとした勇気を持ってもらいたいですね。

 石井さん 「音楽を始めたい」と思ったときが始め時です。ブランクも年齢も関係ありませんよ。

 

―― お二人のデュオ名「トライアングル」は、一本の棒を曲げただけで素敵な音色を響かせるトライアングルのように、サックスとピアノと観客席が一体となって音楽を創り上げたいという想いから名付けられました。長いブランクを経て、手にしたグランプリ受賞。お二人の音楽に向き合う真摯な姿勢は、ブランクを持つ多くの人を勇気づけたのではないでしょうか。渡辺さん、石井さん、ありがとうございました。

 

Interviewer&Writer:権藤将輝

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