ジャズピアノ講師 田村先生インタビュー

梅田・西梅田ブリーゼブリーゼ・心斎橋・なんばパークスにてジャズピアノレッスン稼働中の田村文利先生のインタビューです。

奥深いけど実は親しみやすい「ジャズピアノ」のおもしろさ

jazzpiano_tamura1

おしゃれなカフェやバーで、しっとりと流れるジャズの調べ。アダルティな雰囲気が漂うジャズに憧れを抱いたことがある人も多いはず。ただ、憧れゆえに“高嶺の花”のように感じて尻込みしてしまっている人もいるかもしれません。

しかし、MIKIミュージックサロンでジャズピアノコースを担当する田村文利先生は「ジャズは誰しもを受け入れてくれる」と言います。

今回は、田村先生に「実は親しみやすいジャズピアノのおもしろさ」について語っていただきました。

「すべてを受け入れてくれる」。それがジャズの魅力

jazzpiano_tamura4

―― 本日はよろしくお願いいたします。まず、田村先生がジャズピアノを始めたきっかけを教えてください。

 本格的にジャズピアノを演奏し始めたのは21歳のとき、アメリカ・ボストンにあるバークリー音楽院に入学してからですが、子どもの頃から音楽が大好きで自宅でずっとジャズを聴いていました。80年代から50年代の楽曲までさかのぼって聴き入っているうちに、最初は「歌詞」に惹かれていきまして。

 

 ―― では、ジャズ愛好歴としては相当長いんですね。

 ジャズに出会って30年以上、研究を続けています。そもそもジャズは黒人奴隷の音楽を起源としているために「弱者のための音楽」といった側面を持ち合わせています。ジャズの精神性が訴えるものに共感を覚えて以来、聴けば聴くほど、知れば知るほど、こんなにおもしろいものはない!と思うようになりましたね。現在もジャズピアニストでありながらジャズ研究家としても活動していますが、ジャズは今も生きていて変化しているので、勉強に終わりがないことを日々痛感しています。

 

 ―― 「弱者のための音楽」だからジャズが誰かを拒むことはない、ということでしょうか?

 こちらの知的欲求に応えてくれる音楽ではありますが、ジャズが聴く人や演奏する人を選ぶことはありません。「すべてを受け入れてくれる」。それがジャズの魅力です。

ジャズピアノの特徴は、楽譜から離れて演奏すること。理論の習得が上達に直結

jazzpiano_tamura3

―― ジャズピアノを演奏するうえで、クラシックピアノなどと比べて違いはありますか?

 ジャズピアノの特徴は、楽譜から離れて演奏することです。「自由を楽しむ」のがジャズピアノの本質ですので、とにかく好きに弾いてほしいというのが本音ですが……。

 

―― いきなりアドリブで演奏するのは戸惑ってしまいそうですね。

 ですので、レッスンでは課題曲をマスターすることからスタートします。また、アドリブとはいえ、ジャズピアノの演奏には特有のルールも存在しますので、それらを知っておくことも必要です。理論の習得が演奏の上達に直結するのもジャズピアノならではといえます。アドリブができるようになれば、ジャズピアノの楽しさは一気に広がりますよ。

 

―― そのジャズ理論の習得を目当てに、現役のプロ・ミュージシャンも先生のレッスンを受けに訪れていると聞きました。

 ジャズボーカルやジャズサックス、ジャズドラムなど、ジャズ理論は他の楽器の上達にも必ず役立ちますからね。もちろん現役のプロ・ミュージシャンだけではなく、子どもの頃にピアノを習っていたという20~30歳代の女性をはじめ、大人になってから憧れをかなえようと始められた生徒さんが大勢いますよ。

レッスンやセッション形式の発表会を通して、ジャズの芸術的な深みを感じ取ってほしい

jazzpiano_tamura2

―― 指導の際、心がけていることはありますか?

 当然のことながら「演奏を楽しんでほしい」というのが一番です。そのうえで贅沢を言えば、ジャズの芸術的な深みを少しでも感じ取っていただければ嬉しいですね。そのための理論の提供は惜しみません。私が学生の頃に教えてもらっていた先生たちは「ジャズの喜びを分かち合おう」というスタンスで、それに感銘を受けていました。私も、その先生たちのようでありたいと考えています。

 

―― レッスンでは先生との“ジャズ談義”も人気のようですね。

 私もそうですが、MIKIミュージックサロンでジャズピアノコースを担当している先生方は現役のピアニストばかりです。ですので、演奏活動などの生の話を聞くだけでもおもしろいと思いますよ。

 

―― 発表会では、そんなプロの先生方とセッションできるそうですが。

 発表会は年に2回、ジャズクラブを貸し切って開催しています。そのスタイルはセッション形式。ジャズピアノコースの生徒さんは、ジャズボーカル、ジャズサックス、ジャズベース、ジャズドラムなど、それぞれのパートの先生方と組んで演奏を行います。フィーリングを頼りに、ときにアイコンタクトをしながら演奏する一体感は、まさにジャズの醍醐味です。

 

―― では最後に、ジャズピアノを始めようかと検討されている方々へメッセージをお願いいたします。

 ジャズピアノというと取っつきにくい印象を持たれがちですが、先ほども言ったとおり、ジャズは人を選びません。ジャズの世界では年齢も実績も国籍も関係なく、みんなが対等です。「私がジャズなんて……」と恐縮せず、思い切ってチャレンジしてみてください。

 

―― カッコ良く知的なイメージの強いジャズですが、本来は身近で親しみやすい音楽なんですね。その奥深さこそ、大人の趣味として愛されている理由のようにも感じました。田村先生、ありがとうございました。

【profile】

田村文利先生

8歳よりエレクトーンを始める。1989年、ボストンバークリー音楽院入学。ジャズピアノ、理論全般、アレンジを学ぶ。1994年にJazz Composition科にて首席卒業するまで自己のバンドを率いて、作曲、アレンジ ピアノ指導を行い学校内のコンサートに参加。2005年、2006年にジャズ・ヒストリー講座(5回シリーズ)など各地で講演。帰国以降もジャズ理論・歴史の研究を深め、多数の現役プロ・ミュージシャンがレッスンを受けに訪れている、博士、あるいは“Doc”と呼ぶにふさわしいPianistである。2007年には、自身率いるFUMITOSHI TAMURA TrioでCDを発売した。

 

Interviewer&Writer:権藤将輝

前の画面に戻る
Page top