アコーディオン講師 中村先生インタビュー
梅田・なんばパークス・三宮でレッスン稼働中の中村メイ先生のインタビューです。
身体全身で歌うように音を奏でる「アコーディオン」の魅力
広がる蛇腹が目を引くアコーディオン。特に40~50歳代に人気の楽器だそうです。
今回は、MIKIミュージックサロンでアコーディオンコースを担当する中村メイ先生に、アコーディオンの魅力について教えていただきました。
蛇腹で音を完全にコントロール。難しいからこそおもしろい
―― 本日はよろしくお願いいたします。まず、中村先生がアコーディオンを始めたきっかけを教えてください。
子どもの頃からずっとエレクトーンを習っていたのですが、大阪芸術大学で出会った渡辺邦孝先生にすすめていただいたことでアコーディオンを始めました。
―― 突然の楽器変更で戸惑いはなかったのでしょうか?
始めたばかりの頃は、思うように音が出ず戸惑いましたね。例えば、エレクトーンでは鍵盤を押すだけで音が出ますが、アコーディオンではそうはいきません。アコーディオンは、蛇腹を使って空気を送り込むことで押した鍵盤の音が鳴る楽器です。でも、これが逆に新鮮で、どんどん夢中になっていきました。
―― 難しいからこそおもしろい、ということでしょうか?
アコーディオンはアコースティックな楽器ですし、音を完全にコントロールできるところが良いですね。エレクトーンなどの音は「減衰音」で徐々に音が小さくなりますが、アコーディオンの音は「持続音」で鳴り続けます。奏でた音を蛇腹でコントロールするのは難しくもあり、おもしろいんです。私も、音を安定して出せるようになるまで5年ほどかかりましたが、その分、演奏の楽しさはひとしお。歌うように演奏できるのがアコーディオンの魅力です。
アコーディオンを始めるには、どの楽器の経験も必ず糧になる
―― どんな生徒さんがアコーディオンコースに通われているのでしょうか?
下は10歳代から上は80歳代まで、幅広い年齢の生徒さんにお越しいただいています。ピアノをはじめ、ギターやサックスなど、これまで何かしらの楽器を経験してきた人が多いですが、中には楽器未経験者もいますよ。
アコーディオンでは、右手で鍵盤を弾き、左手で「コードボタン」や「ベースボタン」を押しながら蛇腹を操作して演奏します。そのため、ピアノで培った正確な指使い、ギターで培ったコードの押さえ方、管楽器で培った空気の操り方など、どの楽器の経験も必ず糧になります。
―― 「コードボタン」や「ベースボタン」とは何ですか?
鍵盤と反対側に付いているボタンです。
演奏者からは全く見えないため、指で位置を覚えるしかありません。この「コードボタン」や「ベースボタン」の存在はあまり知られていないのですが、これらのボタンによってアコーディオンの演奏はより味わいあるものになるんです。
―― 覚えるのが大変そうですね。
レッスンでは、両手での演奏に慣れることからスタートします。音を出せるようなれば「コードボタン」や「ベースボタン」の位置を覚えていきます。その後は、メロディーを安定して奏でられるようになるまで練習あるのみ。もちろん個人差はありますが、熱心に復習される生徒さんの方が早く上達していく傾向にあります。自宅で練習するためにレッスン風景を動画で撮影したり、レッスン後にスタジオを借りて(有料)復習したりする生徒さんもいますよ。いかに早く身体に定着させていくことができるか、それが上達のカギといえます。
アコーディオンは新しい“相棒”。身体全身で演奏を楽しんで
―― 指導の際、心がけていることはありますか?
第一に、怪我をしないように配慮しています。アコーディオンは軽いものでも7~9kgほどあるので、正しいフォームで演奏しないと手首や指を痛めてしまいますので。
あとは、やっぱりアコーディオンを楽しんでもらいたいという思いが強いですね。さっきも言ったとおり「コードボタン」や「ベースボタン」の存在が知られていないこともあって演奏時の苦労が周りに伝わりにくいのですが(笑)、私は生徒さんの理解者でありたいと思っています。
―― 先生と二人三脚だと心強いですね。発表会も開催されているようですが、そこでは他の生徒さんとの交流もあるのでしょうか?
年に一度、発表会を開催しています(2月)。そこでは他の生徒さんとも交流できますし、何より「誰かに演奏を聴いてもらう」といった体験が大きいですね。それに向かって努力することで、一気に成長する生徒さんも少なくありません。
それに、アコーディオンはデザインとスペックの両面でバリエーションが豊富なのですが、発表会で一堂に並ぶ光景は圧巻。これから購入する方にとっては、どのアコーディオンが自分に合っているか、見比べ聴き比べするのに最適な場所です。見た目にもこだわって、自分好みのアコーディオンを選ぶと日々の練習にも身が入って上達が早まるでしょう。
―― では最後に、アコーディオンを始めようかと検討されている方々へメッセージをお願いいたします。
アコーディオンは、常に身体にぴったりくっついているため、愛着が湧く楽器です。新しい“相棒”ができたような、そんな感覚に浸ることができます。「アコーディオン“で”がんばる」のではなく「アコーディオン“と”がんばる」。そんな気持ちでアコーディオンとコミュニケーションをとりながら、身体全身で演奏を楽しんでほしいと思います。
―― “相棒”ができたような感覚に浸れるアコーディオンは、大人の趣味として始めるにはもってこいかもしれませんね。中村先生、ありがとうございました。
【profile】
中村メイ先生
3歳からヤマハ音楽教室にて音楽基礎とエレクトーンを学び、大阪芸術大学でアコーディオンに出会い、渡辺邦孝氏に師事。同大学でジャズ、ポップスなどポピュラー音楽演奏技法をはじめ、ポピュラー音楽理論、作編曲、電子音響音楽、リペア、録音など幅広く学ぶ。卒業時に総代、研究室賞を受賞。現在はカフェ、音楽イベント、ライブでの演奏を重ねている。
Interviewer&Writer:権藤将輝