津軽三味線講師 喜多先生インタビュー

梅田でレッスン稼働中の喜多寧(きた やすし)先生のインタビューです。

大人の趣味として始めたい!年齢を重ねてわかる「津軽三味線」の良さ

きたやすし講師

吉田兄弟や和楽器バンドなどの台頭も影響し、今や不動の人気を誇っている「津軽三味線」。叩き鳴らす迫力満点の演奏を耳にし「かっこいいな」「私も弾けたらいいのにな」と憧れを抱いたことはありませんか?

MIKIミュージックサロンで津軽三味線コースを担当する喜多寧(きたやすし)先生が言うには「津軽三味線は難しいと思われがちだけど、ギターやピアノのほうが遥かに難しい」とのこと。たくさんの楽器未経験者が津軽三味線にチャレンジしているそうです。

歴史ある津軽三味線は、弦楽器でありながら打楽器的な要素も持つ

喜多先生

―― 本日はよろしくお願いいたします。まず、喜多先生が津軽三味線を始めたきっかけを教えてください。

20歳のとき、ひとりでインドを旅したことがきっかけですね。ずっとアメリカやイギリスのロックが大好きで、高校生の頃からバンドを組んで活動していたのですが、いつしか民族音楽に興味を持ち始めるようになりました。中でも特に惹かれたのがインドでして。

インドの人たちは、自国の音楽文化に誇りを持ち、その歴史にとても詳しいんです。そんな話を聞いているうちに「自分は、生まれ育った日本の音楽を何も知らないな」ということに気づかされました。帰国し、日本の音楽を勉強し始め、雅楽と津軽三味線に出会いました。

 

―― 最近人気の津軽三味線ですが、一般的な三味線との違いは何ですか?

津軽三味線と一般的な三味線は、大きさから構え方、音色まで全く異なりますので、似て非なる楽器です。

また、津軽三味線には「弦楽器でありながら打楽器的な要素を持ち合わせている」という特徴があります。

 三味線というと、関西では舞妓さんや芸妓が優雅に弾く高尚なイメージも強いですが、津軽三味線は「門付芸」がルーツとされています。門付芸とは、金品などをもらい受けるために他人の門口で披露する芸のこと。津軽三味線の迫力ある音や派手な演奏技法は、このルーツに起因しています。

津軽三味線は“歌う”のに近い自然な感覚で演奏できる。レッスンは正しい構え方から

津軽三味線

―― どんな生徒さんが津軽三味線コースに通われているのでしょうか?

 30歳代から40歳代を中心に、女性の方々が多く通われています。どこかで津軽三味線の演奏を聴き「私も弾いてみたいと率直に感じた」という人たちがほとんどです。

 

―― 「津軽三味線は難しいと思われがちだけど、ギターやピアノのほうが遥かに難しい」とのことですが、それはなぜですか?

 津軽三味線は、ギターのフレットやピアノの鍵盤のように「区切り」がありません。

 津軽三味線・太棹

そのため、いわば“歌う”のに近い自然な感覚で音を奏でることができます。もちろん、決められた区切りがないからこそ最初は難しいかもしれませんが、個人差はあるものの初心者の方でも4~5か月ほどで弾けるようになりますよ。

 

―― 慣れるまで時間がかかりそうですね。

 それは津軽三味線に限らず、どの楽器にも言えることだと思います。例えば、最初はバチを持つのも難しいものですが、今まで触れて来なかったのですから当然といえば当然です。しかし、時間が経てば必ず慣れます。

 

―― レッスンの流れを教えてください。

 まずは構え方からですね。ちなみに、構え方のチェックはずっと続けていきます。正しいフォームで練習しないと上達は見込めませんから。そして、基本的な演奏テクニックを覚えていただきます。ここまで約1~2か月。実際に曲を演奏するのはそれからですが、最初のうちに基礎を叩き込んでおくと、その後スムーズに津軽三味線を習得いただけるようになります。

 

―― 上達のコツはありますか?

レッスン中に限って言えば、私たち講師の話に耳を傾けていただける方の上達が早い傾向にあります。演奏に没頭しすぎて自分の世界に入り込んでしまうことがあるかもしれませんが(笑)、レッスン中は講師の技を見て聴いて、貪欲に取り入れていただきたいですね。

 あとは、レッスン以外で自宅などでも練習ができる人はやはり上達が早いです。津軽三味線特有の良い音がするものはオーダーメイドで40万円以上しますが、自分の津軽三味線があると練習に対する意欲がより湧くと思います。

日本人の心に訴えかける津軽三味線。直感を信じて始めてほしい

喜多講師

―― 指導の際に心がけていることはありますか?

 「通う目的は人それぞれ」ということでしょうか。「とにかく上達したい!」という方もいらっしゃれば、「たまの息抜きに津軽三味線を鳴らしたい」という方もいらっしゃいます。生徒さんひとりひとりの目的やペースに合わせて、津軽三味線の楽しさを提案できるように心がけています。

 

―― 生徒さんたちはどのように津軽三味線を楽しんでおられますか?印象的なエピソードがあれば教えてください。

何人かでグループを作って介護施設でボランティア演奏を披露するなど、自主的に演奏会を開催したりしているようです。

 MIKIミュージックサロンでも津軽三味線コースの発表会(年に1回)がありますが、人前で演奏するのは楽しいですし、向上心が芽生えることにもつながると思います。

 

―― では最後に、津軽三味線を始めようかと検討されている方々へメッセージをお願いいたします。

 すべての楽器は、始めてみないと良さがわかりません。あまり深く考えずに「津軽三味線を弾いてみたい」という直感を信じてチャレンジしてみてください。練習を続けていけば、誰でも必ず弾けるようになります。

 

―― 喜多先生自身も、年齢を重ねていくうちに津軽三味線の音色がより心に響くようになったそうです。日本人の心に訴えかける何かがある津軽三味線は「大人の趣味」として最適なのかもしれません。喜多先生、ありがとうございました。

 

【profile】

喜多寧(きたやすし)先生

高校時代よりギターを手にし音楽活動を始める。その後、自分のルーツを探るべく様々な和楽器に携わり、津軽三味線を本格的に学ぶ。バンド「まほろば楽座(マホロバガクザ)」での活動を経て、現在は「NolenNiu-de-Ossi(ノレンニゥー・デ・オッシ)」のVocal/三味線/ギター奏者として日本全国、およびアメリカを中心に海外でも演奏活動をしている。2002年よりMIKIミュージックサロンにて津軽三味線を指導中。

 

Interviewer&Writer:権藤将輝

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