二胡講師 川野先生インタビュー
梅田にて二胡レッスン稼働中の川野真弘(かわのまさひろ)先生のインタビューです。
郷愁を誘う美しい音色。中国の民族楽器「二胡」は実は始めやすい!
胸を打つ、伸びやかな美しい音色。「二胡」という中国の民族楽器です。今や至るところで耳にするようになりました。
「擦弦楽器の中では圧倒的に始めやすい」と言うのは、MIKIミュージックサロンで二胡コースを担当する川野真広(かわのまさひろ)先生。この川野先生も、大人になってから二胡に魅せられ、全くの未経験から始めた一人です。
今回は、楽器未経験でも始めやすい二胡の魅力についてお聞きしました。
自然の中で映える。楽器未経験から二胡の虜に
―― 本日はよろしくお願いいたします。まず、川野先生が二胡を始めたきっかけを教えてください。
バイクのひとり旅が好きなんですが、夕焼けのような綺麗な景色を眺めているうちに楽器を弾いてみたくなりまして。ある日、バックパッカー用のギターを探しに訪れた楽器屋さんで見かけたのが二胡でした。「持ち運びしやすい」というのが二胡を始めたきっかけですね。それと、以前から二胡の独特な音色は知っていたので、「自然の中で演奏したら映えるだろうなぁ」と思いました。
―― それまで音楽の経験はあったのですか?
いえ、音楽は全くの未経験で。二胡を始めたのは23歳のときです。そして、2~3年ほど練習を重ね、二胡奏者として活動するようになりました。
―― スピードデビューですね。
ピアノやギターなどの王道の楽器と比べてメジャーではなかった分、当時は奏者が少なかったので。その後、『女子十二楽坊』が注目を集めたことで、二胡の認知度は飛躍的に上がったように思います。
二胡が圧倒的に始めやすい楽器である理由
―― どのあたりに二胡の魅力を感じますか?
やはり音色でしょう。耳にやわらかく馴染み、心に響く。今いる生徒さんたちは、この特有の音色に憧れて二胡を始めた人ばかりです。
―― 音楽未経験者も多いのでしょうか?
はい、多いですね。実は、二胡は擦弦楽器の中でも圧倒的に始めやすい楽器なんですよ。
―― それは意外です。なぜですか?
まず、弓の持ち方がお箸を持つのと同じ。日本人はお箸を日常的に使っていますので、すぐに正しく持てるはずです。
それから、弓を一番下に置いたままで上下に動かす必要がないため、擦弦楽器の中では音を出しやすいという特徴があります。
そもそも二胡は二本の弦に弓を挟んで演奏するため、動かせる範囲が広くありません。さらに、楽譜は「数字譜」といって「ドレミファソラシド」を数字に置き換えたものを使用します。
ですので、五線譜が読めなくても問題ありません。私も、二胡を始めた当時は五線譜を読めませんでしたから(笑)
―― どれくらいの期間で演奏できるようになるのでしょうか?
約1年の練習期間で、1オクターブ+αで構成された楽曲を演奏することができるようになります。二胡は始めやすい楽器であることは間違いないのですが、他の擦弦楽器と同様、安定して美しい音色を奏でられるようになるにはどうしても時間がかかります。
―― レッスンの流れについて教えてください。
弦を押さえる手のかたちを正しくマスターすることから始めます。
このポジションを最初に身に付けておけば、スムーズに上達していくことができます。あとは感覚で音をつかんでいくしかないので、練習あるのみ。音の高さを識別する「相対音感」は大人になってからでも養っていくことができるため、どこまで追求できるかで奏でられる音程の正確さは変わります。音程の精度が高まれば、音色も美しくなっていきますよ。
―― 指導の際に心がけていることはありますか?
弓の使い方や弦の押さえ方など、細かいところまで近くで見ていただくようにしています。また、よく模範演奏をしますね。二胡の音色に対して憧れる気持ちを新たにしてもらいたいですし、高い理想を持って練習に励んでいただきたい。レッスンでは気合いを入れて演奏しています(笑)
―― 上達のコツがあれば教えてください。
やっぱり、二胡が好きな人ほど上達していきますよね。前を向いて楽しみながら練習に取り組むことが、何よりの秘訣です。その他、MIKIミュージックサロンで開催されている発表会の機会を活用するのも上達の近道。発表会に目標を定めれば、そこに向かってどんどん上達していきます。加えてテクニカル的なことを言えば、いかに力を抜いてリラックスできるかがポイント。これを会得できれば、どれだけ練習しても疲れません。二胡はラクに演奏できる楽器ですから。
未来の可能性大!二胡を演奏できれば、世界が広がる!
―― 二胡を始めた生徒さんの中で印象的な方はいらっしゃいますか?
定年退職を控え、5~6年前から二胡を始められた方がいらっしゃるのですが、今では二胡の先生として第二の人生を歩んでおられます。求められる環境にありながら、本格的に二胡を演奏できる人はまだまだそう多くはありません。未来の可能性が大きい楽器だと感じています。
―― では最後に、二胡を始めようかと検討されている方々へメッセージをお願いいたします。
二胡は民族楽器でありながら、さまざまなジャンルの音楽に融合できる魅力的な楽器です。その音色はどこか懐かしく、特に日本人の心に訴えかけてくるものがあります。持ち運びができる楽器ですので、外で演奏すれば一躍人気者に。そこでコミュニケーションが生まれて、きっと世界が広がるはずです。擦弦楽器の中では比較的安価なのも始めやすい理由のひとつだと思います。ぜひチャレンジしてほしいですね。
―― インタビューの最後、「簡単な曲でも二胡で弾くと、より美しく変貌する」と言って童謡「赤とんぼ」を披露してくれた川野先生。その音色は郷愁を誘い、胸にグッときました。二胡で奏でれば、どんな楽曲も“二胡色”に染まる。多くの人の憧れを掻き立てる、やさしくも壮大な力を感じました。川野先生、ありがとうございました。
【profile】
川野真広(かわのまさひろ)
二胡奏者・講師。
二胡を鳴尾牧子、任斌魁らに師事。
現在、中国民族楽器デュオ「しゃん・ふう」を立ち上げ、関西各地で演奏活動をおこなっている。
2007年「第8回中国音楽コンクール」金賞。華僑総会賞受賞。
2010年「第3回中国音楽国際コンクール(於:中国・杭州)」金賞・特等賞受賞。
浄土宗芸術家協会会員。
国際音楽協会会員。
Interviewer&Writer:権藤将輝
〜番外編
以前、川野先生に演奏していただきました「恋」の演奏動画です。
よろしければご覧ください。